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『機動警察パトレイバー EZY』 #庵野秀明# 、 #真野恵里菜# らがエール 14名の著名人コメント公開 #パトレイバーEZY# #patlabor# #佐久間宣行# #逢坂冬馬# #樋口真嗣#
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梦里不觉秋已深,余情岂是为他人 手办 @MAGIARTS0906 #WHITEALBUM2# #冬马和纱#
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wf完美收官~ 大家辛苦了,谢谢各位 @MAGIARTS0906 的冬马太传神啦,太爱了 #WHITEALBUM2# #冬马和纱#
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【淘宝】 COSPLAY 冬马路纱 路西 挂画 偶像周边」 海梦泳装+五条脑内小剧场已经上架了哦~是特价!41P 50r。5.1号发!
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7月25日一篇微信公众号文章《那十年,满城尽带黄金甲》(见附文)回顾了中国经济腾飞的十余年时间,引发网民热议。 社会信心这种东西,高涨的时候就狂飙突进、一日千里,退潮的时候就山崩地裂、哀鸿遍野。 中国民众仍然对眼下的经济困境缺乏清醒认知,他们一边幻灭,又一边怀抱不切实际的幻想: 他们以为这不过就是一个普通的经济周期而已,他们以为忍一忍,困境就会过去。 我想借题发挥的地方是:社会信心对于一个国家来说至关重要,当社会信心崩溃的时候,就会出现像东欧剧变那种连锁反应。这一点在捷克斯洛伐克尤其突出:这个国家的反对运动甚至没有怎么出力,这个国家就已经被时代浪潮裹挟而去,因为信心崩溃确如山崩地裂。 当然,我并不是鼓吹坐着干等政权自己灭亡。中国眼下的时代幻灭还夹杂着新的不切实际的幻想,中国的经济危机还没有触底,但是社会信心已经松动了。 这是一个重要的国家转型历史机遇期,就好像波兰反对派运动遇到1975年《赫尔辛基协议》和1976年当局误判形势导致食品大涨价。如果抓准了历史机遇期,社会运动就会如风卷残云一样席卷过来;如果错过了历史机遇期,不但反抗运动要付出更大代价,还可能无法成功。 在经济高涨期鼓吹中国崩溃论是对政治经济规律的无知,但经济衰退期重新鼓吹中国崩溃论则近乎逃避责任和自娱自乐了。 无数现实案例告诉我们:即使是一个经济上破产的国家,也并不必然导致政权崩溃。真正导致政权崩溃的因素绝不包括国民什么都不做就干等政权灭亡。 社会运动就是为政权更迭创造新变量的最重要环节:因为社会运动意味着社会主动求新求变,要求解决现实问题。 相反,如果社会运动缺席,我们就会像案板上的鱼肉幻想重归大海。 我们要主动去创造社会运动,要主动去创造可以改变社会的全新变量,不要沉浸于无休止的内斗和党同伐异,然后埋怨别人没有努力去改变现状。 -------------------------------- 《那十年,满城尽带黄金甲》 ——来自微信公众号:摩登中产 1 2004年,冯小刚包下T97次列车,取名“天下无贼号”,从北京南下香港。 列车经郑州,过武汉,越长沙,车厢内德华高歌,葛优醉饮,一路欢声。 一年后,微醺的葛优转战《夜宴》剧组,这次冯小刚用一亿两千万,重建了一座皇城。 数米高的青铜吊灯有两百盏,皇后的凤辇造价五十万,1.2万平的大殿诡秘森严,大殿前数十匹骏马奔腾,每根毛发都用黑油熨染。 那几年,中国电影尽是大手笔与大场面。 陈凯歌的《无极》,到香格里拉布景,在无人区修路,为几秒镜头买了100多头高原犏牛。 徐克的《七剑》,远行天山三年,武器造了上千把,准备连拍6部,对标星战。 更早之前,张艺谋在内蒙胡杨林深处,拍下《英雄》第一个镜头。片中的树叶,都是60元每包,从老乡家收购。 刀光剑影裹着王霸雄图,呼啸向前。人民大会堂首映礼上,200大学生身披秦甲,高喊:风!风!大风! 2006年,张艺谋开拍《满城尽带黄金甲》,那风已浩荡无双。 电影投资3.6亿,在横店1:1仿建故宫,一万平广场上,铺满四百万朵菊花。 51岁的周润发身披八十磅重的纯金龙袍,龙行虎步,穿过金色廊柱,登上朱红高台,放眼望去,一片金色的海。 两年后,投资更高的《赤壁》到来。吴宇森要用6亿投资,“拍一部伟大的电影”。 六千名群演,奔跑在八卦阵之中,两千艘战船,浮动在波涛之上。最长一艘战船,首位长达38米,号称亚洲版特洛伊。 那些风声水气,已成绝响。多年后,参与拍摄的群演,回味起漫天落雪般的灰烬,“像大梦一场”。 那是澎湃的大时代,而时代越澎湃,主角反而越是小人物。唯有上行,才有逆袭。 21岁的李宇春,被352万条短信选成全民偶像,登上时代封面,她原本计划是毕业做北漂,在地铁通道站唱。 33岁的郭德纲,穿过大雾回天津办专场,一月接受采访140场,不久前他的梦想还是小剧场能坐满,说句“我很欣慰”。 那些年,我们看着旭日阳刚唱上春晚,看着王宝强越过原野,看着黄渤奔跑在《疯狂的石头》收尾,高架桥两侧,浮出海市蜃楼。 穿行过上行周期的人,都相信奇迹。 那十年,优酷上最火的歌是“我相信青春没有地平线”,毕业季上最流行的歌是“最初的梦想紧握在手上”,而写进高考作文题的歌是:我一直有双隐形的翅膀,带我飞,给我希望。 飞翔的人们掠过金色年代。 2001年,中国男足挺进韩日世界杯,2002年,姚明亮相休斯顿火箭队,2004年,刘翔110米栏决赛夺金,创造世界纪录。 那天,疾驰如风的他说:我感觉今天自己是一个奇迹的主角。 2008年,更大奇迹上演,29个巨大焰火脚印,沿北京中轴线破空踏来。 鸟巢之内,千人击缶,万人高歌,李宁飞天踏画,圣火熊熊,成为一个时代的燃点。 火光下,人人都是奇迹的主角。 2 奇迹背后,是经济狂飙带来的底气。 2001年,中国GDP增速8.3%,而这只是那十年的最低值。 2003年到2007年,中国GDP连续5年两位数增长,2007年增速达到14.2%。 在西方,中国崩溃论悄然退场,英国记者金奇写了《中国震撼世界》,并成为英国年度最佳图书。 在国内,央视《大国崛起》纪录片多轮重播,盗版碟热销,被摆在摊位最显眼位置。 狂飙的经济,让原材料需求激增,煤老板成为上行周期第一批宠儿。 他们一夜暴富,再一掷千金,最爱到北京买房投资。煤老板们对望京不屑一顾,要买就买“一环”:以天安门为圆心,用圆规画圆,半径在3公里以内,否则不买! 他们买奔驰越野,开信贷公司,投资影视剧,多年后,导演彭浩翔对煤老板念念不忘,“你给我拍个艺术电影,拍什么内容我不管,一定让我女朋友走红毯”。 2010年,30多个煤老板集资50多亿,成立汾酒投资公司,豪言让汾酒产能提升3倍,和茅台一争高下。 与煤老板一起纵横江湖的,还有地产商。 1998到2007年,中国商品房销售面积年增速20%,2007年,26岁的杨惠妍成为中国新任首富。富豪榜单前100名中,有39人从事地产业。 巨浪之下,热钱开始聚拢中国。 2006年,美国红杉资本合伙人迈克尔造访中国,称中国伟大公司或许还没有诞生。 一年前,号称投资半径“不超出硅谷40英里”的红杉资本来到中国,成立红杉中国基金。 红杉合伙人沈南鹏,意气风发坐在上海恒隆广场28楼办公室内,桌上摆着3部手机,每个月话费上万起步。 窗外,黄浦江江水奔流,一往无前。 那年,朱啸虎刚加入金沙创投,很快有外号“点石成金”;今日资本徐新,刚投资土豆网,并称哪怕不盈利“我们愿意养它三年”。 投资京东时,徐新嫌刘强东要200万美元太少,主动加到500万美金:“你现在没尝到钱带来的威力,你会觉得200万是远远不够的。” 2006年春节,从华盛顿飞回上海的38000英尺高空上,吴晓波给新书《激荡三十年》写下题记: 当这个时代到来的时候,锐不可当。 江河汇聚成川,无名山丘崛起为峰, 天地一时,无比开阔。 2005年8月,百度登陆纳斯达克,当天涨幅超350%。 媒体采访李彦宏,问他知不知道百度造就了8个亿万富翁,50个千万富翁,400个百万富翁。 李彦宏说,分享财富,共同奋斗。 两年后,阿里巴巴上市满月酒,酒桌上员工都在计算身家;同年,史玉柱在陆家嘴摆上市庆功宴,给所有人涨薪,并一人发一枚老凤祥定制金币。 财富浪潮从楼市到股市,从煤老板到互联网新贵,最后漫过每一个人。 北京海淀,星巴克内坐满创业者,推门进店,投资、创业、技术理想的话题扑面而来。 高中辍学的李想,4年身家过亿,笑谈发家历程:“我们这些人,前两年,还糊里糊涂的,什么都不知道……” 《新周刊》写出那十年的急切和野望,“如果你三十而未富,那你这辈子很可能已经没有机会了。” 当时只道是寻常。 3 2007年,身份神秘的外企经理李可,写了《杜拉拉升职记》,两年卖出210万册。 书里干练坚强的南方女子,成为无数白领的人生范本,“杜拉拉信奉踏实,不懈努力,靠个人奋斗获取成功。” 上行周期的年轻人,总是自信又乐观,相信未来注定是他们的。 有媒体调查北上广深8个城市青年,发现7成以上年轻人不在乎失业,自信很快就能找到新工作。 他们相信爱情,选择伴侣时,更多考虑人品志趣,门当户对被排最后。 他们相信梦想。广州赤沙村的小情侣,相信一定能搬到市区;北京唐家岭的蚁族,则梦想“三年一辆车五年一套房”。 在国贸,白领相信30岁前能当上主管,主管相信后半生都是中产,飞机靠背插着的杂志上,说就应该“用明天的钱,圆今天的梦”。 回望那十年,繁华之下是狂飙,而狂飙的遗泽是信心。信心是最强大的惯性。 惯性之下,那十年流光溢彩。 他们是许三多,他们是杜拉拉,他们是见证奔腾的马冬梅和夏洛,他们是贾樟柯的风流一代。 风流轮转。 19年后,满城已无黄金甲,横店广场也无耀眼明黄,蚁族的城中村已化森林公园,碧桂园忙着交房,昔日女首富焦头烂额。 去年夏天,徐峥穿着不合身的外卖服,试图讲述逆袭人生,结果被骂得声名狼藉。 电视上播的是小欢喜、小舍得、小别离,45岁的黄磊在楼道上痛哭流涕:老老实实做人,认认真真工作。 有人剪辑了马云的视频,2008年,马云说:银行不改变,我们改变银行;2018年,马云说:要改变我们自己。 2020年,马云说:都难都难,现在都难。 所有人都在翻山渡海,沿着周期向上攀爬,而旅途越艰难,越想念远去的夏天。 今年42岁的刘翔,已退役十年,罕有露面。 2020年一档综艺上,他和几个小朋友在大巴车上休息,小朋友问他到底几岁。 刘翔笑着回答说:“我想永远停留在21岁,再来一遍。” 越来越多人回望那十年,不是贪恋黄金的甲光,而是想重温信心的力量。 每个上行周期,狂飙的经济,总能带来信心,而重启上行周期,则需以信心为起点,凝聚心气。 今年夏天,苏超火爆,一座座奥体中心内,人声鼎沸,人潮如海。 这只是草根联赛,但当人们都相信它会成功,都有心气把它办成功,它就能成为奇迹。 夏夜漫长,体育场灯光璀璨,欢声如雷,笑容如昨。 恍惚间又有热风吹过。 不如我们从头再来。
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每日分享渣男语录: “你闺蜜不来的话,我就回去了⋯” 各位王俊凯夫人,王源夫人,易烊千玺夫人,王一博夫人,李现夫人,任嘉伦*夫人,华晨宇夫人,高伟光*夫人,叶航成*夫人,张云雷夫人,黄致列*夫人,张新成*夫人,胡一天*夫人,王凯夫人,徐凯*夫人,邓伦夫人,朱一龙夫人,周震南*夫人,白敬亭夫人,刘宪华夫人,黄明昊*夫人,小鬼夫人,袁昊*夫人,刘昊然夫人,薛之谦夫人,刘耀文*夫人,鹿晗夫人,范丞丞夫人,黄旭熙*夫人,陈立农* 夫人,孙泽源*夫人,黄子韬夫人,张艺兴夫人,宋亚轩夫人,陈学冬夫人,朱正廷*夫人,陈伟霆夫人,李文瀚*夫人,秦霄贤*夫人,白宇夫人,马嘉祺*夫人,李易峰夫人,丁程鑫*夫人,杨洋夫人, 给个赞点个关注吧~
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悄悄告诉你哦~~平时穿的衣服里和丁字裤配套的蕾丝胸罩尺寸都是平常大小的二分之一❤️每次出门那种马上包不住乱颤的乳肉要晃出罩杯凹槽的那种感觉贱狗光是听妈妈这么说肥肉虫就要起反应了吧?别这么没出息好吧死变态看你那么可怜就让你看看好啦~ #米醋必修四# #mcbxshi_cos# #未亡人の雪女# #雪乃深冬#
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1話目〜7話まで。 改稿済み再投稿。 ジャーニーwithゴースト  和田村陽乃、わたしは幽霊なんです。  渡部櫛木、クッシーは大切な憑き人というか、ぬか床の器というか、まあそんな僕の大事なアレなんです。  いま田舎の温泉にきています。  広くてゴツくて猿がでそうな岩風呂のある露天の前です。  でもこのお風呂、熱そうなんですよね。  僕入れません。  さて今カメラで写真撮るとこなんですけど。  風呂場に人がいて撮れないんですよね。  と、噂をすれば早速。  クッシーが現場(風呂場)から出てきました。  カメラは任せたって後ろ手にサムズアップしてます。  どうやら一般客はいなくなったようです。じゃ幽霊らしく上空のあり得ない箇所から撮ってきます。  はい。旅館の程よい高さからの上空写真です。  これドローンでも使わなきゃ無理なこれ、今結構人気ありまして、今複数の個人さんや旅館さんからオファーきてるんですよね。今回は遠間からの絶景な露天風呂ショット。  さてさて今回の稼ぎはあと数日の延泊料金無料です。  お金もすこーし入ります。  なんたって謎な仕事なんで信用もへったくれもありません。いきなりおたくの旅館の上空写真を美しく撮ってあげるから泊めてくれとか、正気じゃないと思う。  交渉役はクッシーでした。夜中の11時くらいだったと思います。フクロウがいそうな鬱蒼とした木々の中に立つ旅館。  そこのフロントで不審者相手に目を泳がせる仲居さん。呼ばれて飛び出て少し冷ややかなお顔のおかみさん。クッシー自分が(嘘だけど)撮った少し不思議な写真集を見せてコウコウ言うものを撮りますよ、絶対客寄せになりますよと必死に説得するもなんかやっぱり不審者で。  だって会話下手だし、見た目仕事してないし。  クッシー自体カメラ下手だし、でも食い扶持なくなるんで必死でした。  でも結果は合格です。年齢的に親の事情とかありそうで同情されたかもしれません。良い時代です。  あっでも撮るのは全部僕ですよ。  幽霊ひまなし。  あ、またクッシー休憩所で寝てる。  子供かよ。  僕ちょっとお説教してきますね。じゃあまた。 ──── ──────── 季節は夏。6月半ばくらいだ。しかし異常気象という時世柄か、今日も昨日も急にそんな暑くない。涼しいくらいだ。  俺、クッシー(いつのまにかついたあだ名)は和室の広縁に行って窓を開けた。 「あー涼しい。煙草吸いてー」  18の身空で馬鹿な事を呟いて、あたまに何か飛んできた。 「それは僕にも迷惑なんでやめて」  拾いあげる。笹団子がキラキラ光ってるキーホルダーだった。昨日の夜、土産屋さんでせがまれて買った謎なやつだ。  返事の前に伸びをして振り返るとそこには、 「どうしたの? じっと見つめて?」  いない。でもいる。薄らと少女の形をしている。モヤのような彼女。モヤなのに見える、人の輪郭、色調。 「いや、なんか病気、早く治りたいなってさ」 「え。病気?」  突っ込まずにとさりと座卓前の座布団に腰掛ける。冷めたお茶を手に、 「なんかさ、幽霊って他にどんなやついるのかな? いまさらのように」  俺を見返してくるモヤ。 「え、え?」  和田村陽乃(モヤ)が動揺している。モヤだが、唇、目、鼻が、ちゃんと動き、性別がわかる。でもなんか薄い。あちこち薄い。コントラストが低い。 「えーとね、最近だといまいるとこにお爺さんが1人いるよ。一階の廊下でいつもウロウロして、なんか探してるふう。それがなに?」 ないタバコを吸うふりをしてフーッと大袈裟に息を吐く。 「いや、聞きたくなかったわ」  俺が目頭を摘むと、すかさずモヤが横に来て頬を割り箸でツンツンしてきた。浮く割り箸。明るい日がさす部屋に似つかわしくない光景。  俺は特に意味もなくバタンと倒れた。いぐさの香りに鼻腔が包まれた。  いきなりモヤが喋る。モヤじゃない。陽乃だ。 「あのさ、ゆっくりするのはいいよ。私もそうしてるし。でもさクッシーは今日何したよ。風呂場の人の出入り確認しただけじゃん。ずっと夕方まで寝ててスマホいじって、風呂行って極楽で。出てきて合図しただけじゃん」  そうだ。湯上がりしたばかりで、部屋が少し暑い。クーラーだリモコンだ。 「ポチッと」 「まあさ依頼一件で、いい依頼だとただで長期で泊めてくれたりするからね。うん、あそうだね。依頼メールとか宿の人とのやり取りはしてたね」  真面目な顔で、考える人になった陽乃は、カメラマン歴は新米だ。  カメラマンというか子供の使いというか。 「説教まだおわんねー?」 「もうちょっと言わせて」 俺はため息を象みたく吐きながら、目を瞑った。  まだ全てが手探り状態で俺たちの旅は続いている。  陽乃が突然現れたあの日。  あれからどれくらいか。  俺たちは今、旅をしている。 そこに座すは誰と心得るか!  他ならぬ、神の御前であるぞ!  ひかえおろう! ひかえおろう!  乳白色の世界に浮かぶ、昔よくみた子供達の世界。  これは確か学芸会かなんかでやった演劇だ。  点々としかいない観客席に向けて、舞台上で熱心に演ずる小さな役者達。  そこには当然悪意がない。  真剣に演技と向き合う子供達と微笑ましくみつめる大人達だけ。  確かにここにはそれが無い。  でも俺はいつも違う世界が。 「あ、寝てた」  目が覚めてすぐ、辺りが仄かにオレンジ色の光に包まれていた。  朝焼けだ。朝一番乗りだ。  起き上がる。  畳一畳挟んで陽乃が寝ていた。  ぼうっとしたままぐるりと視線を一周する。  額縁の飾られた和室の壁。襖が開けっぱなしになった出入り口付近にはスナック菓子の空袋が捨て置かれている。10畳程の居間の縁側はバッグやらコンビニ袋やら買い溜めした飲食物が雑に積まれている。  向かい合わせに二つ木造りのチェアの向こうは掃き出し窓が海を見せている。 海の反対側、入り口は林。  宿は小さな山の中腹に位置する。  夕焼けのような朝の日差しが部屋中を暖かく染め上げる。  窓を開けてもいいけど、外側に何匹か虫が張り付いていた。  こんな時間に、入り込んだ虫で陽乃に悲鳴を上げられても困るので、とりあえず俺は窓を開ける代わりにカーテンを閉めた。  再びカムバックした薄暗闇のなか、携帯を取り出してメールを開く。  依頼があった。  今受けている小さな雑誌は緩い感じで、基本的に何を書いてもどの写真を使ってもOKが出る。  だからとりあえずなんでもいいから何かを書く。  あとは陽乃が起きてきたら改稿は彼女に任せればいい。  死んでるけど、そういうのは得意だ。 「ん、ねむい。暗い。僕の、僕のまくらあ?」  寝返りを打ちながら移動する陽乃。 「あ、陽乃起きたん。あと1時間くらい」  何が?という顔をしていた。 「朝食。部屋食は夕飯だけこの宿。オーケー?」  目を擦りながら、頷く陽乃。  そして再びまた布団に潜る。  特にリアクションも思い付かず、俺はまたメールに取り掛かる。  メールは寄稿文の下書きだった。  毎回いい意味で目立ちそうな題と現地紹介を書いて後で纏めてPDFにして送るのだ。  勿論だけど俺に才能はない。  だから陽乃に手伝ってもらって一緒にやる。仕上げは彼女だ。  カメラマンの仕事もやってる陽乃だけど、文章といえば女子だ。  しかし給料は全て俺に振り込まれる。   だからせめて叩き台を考えるのが俺の役目だ。  叩き台、業務連絡系、依頼探し、料金交渉。全部ちゃんと納得がいくまでする。  いま俺は18。18なら高校か大学に居るのが普通だ。  俺はまだ高校を卒業していない。  留学して以降ずっと欠席扱いになっている。  『よくノコノコやって来れるよな。おまえのせいで○○さんは死んだんだ。消えろよ』 『ああそうだ。みんなお前のせいだ。消えろ消えろよ。お前最低だよ』 『消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ』  ぼやけた世界に昔の──。 「っやべ」  間違えて雑念をそのまま文字にしていた。慌てて訂正する。まあメールはあくまで何かあった際の自動下書き保存機能目当てに使ってるだけで、誰かに送るわけじゃないけど。  俺は気分を払拭するように布団から立ち上がる。折角の朝焼けが無惨にもカーテンで隠れた部屋の中、ヨタヨタ歩く。適当なバスタオルを掴んだ。  そのまま部屋を出る。出る直前にメールで、風呂、と陽乃に送信しておいたから問題なしだ。 夜、温泉のある階から部屋に戻る道を間違えた時に、昔の童謡みたいな歌が聞こえてきた。  多分陽乃が暇つぶしに歌っているのだろう。  あいつの夜は長い。  幽霊らしいというか、まあまあの夜行性で、昔の童歌や聴いたこともない歌を真夜中にヒソヒソと口ずさんでいる事がある。 「は、兎も角として……」  ここにいつまでいるか。  それが肝心だ。  俺たちに目的地はない。あるにはあるが、言葉にし難い。  いろんな場所に行きいろんな空気を吸い、まあなんか時間稼ぎ的な。  そんなふうに考えている。 「早く治ってほしいもんだな、あ、よう陽乃」 「行きは良い良い帰りはクッシーにバッタリうわあ」  驚くようなジェスチャーでわざとらしく、廊下の向こうから現れた陽乃。  その表情はなんとも言えない。  いや無表情なんだけどオーバーアクションみたいな。 「寝れないの?」  俺がたずねると陽乃が首を傾げる。 「いやクッシーが朝方にお風呂行ってからずっと寝てた。その間まさかのずっと入ってたやつ?」 「ねーよあのな陽乃。お前朝食うと思ってたから待ってたんだよ。こないからさ、食堂でこっそり幾つか包んで持ってきたんだけど、ついに夜になるじゃん。刺身だし悪くなるから処理しといた」  ガーンと効果音を奏でる陽乃。 「捨てたんすか? さすがにそれはない」 「捨てるか。強いて言えばそろそろトイレに捨てる。陽乃が食うと異次元に行くからな。どっちが経済的かは謎だな」  シュッと。  右手に持っていたコーン付きアイスに陽乃の手が音速を奏でる。 「あ」  言う必要もないくらい素早くアイスをひったくった陽乃は、幽霊の筈なのに口にアイスをあてがい程なくコーンの屑だけがパラパラと床に舞った。  多分朝から食ってなかったのだ。余程お腹空いてたらしい。 「甘いな」 「色んな意味でな」  平和である。 「言わなければいけない事があったんだった。夜中にまたわざわざ外へ出ていたのもそれが理由だよ」  食べ終わり余韻に浸っていた陽乃だが俺にそう言われてすぐに真面目な顔になった。 「陽乃。一応依頼もひと段落したし、とりあえず朝一出る」 「え? 滞在期間今日まで?」 「んだし、なんかそろそろ迷惑をかける時期かなって」 「早くない? 僕まだ何もおびき寄せてないよ?」  陽乃にはある特徴がある。  長い時間を同じ場所で過ごすと、段々と旅感覚が薄れてきてか、陽乃の意思とは無関係に周りにやってくるのだ。  色んな霊を招き寄せる。その中には怖い奴もいるだろう。問題だった。  ある時、10日近く長期滞在をした日、二人はそれに気付いた。 「早いけど、用もなくいつまでも居ても不審に思われるし」 「まあ確かに」  部屋の前まで歩きがてら、フロントに寄って自販機でコーヒーを買った。  今寝てしまうと明日のチェックアウト時間に間に合わない。 「それに、やっぱりな」  この宿も手遅れになったら知らん顔はできない。  言わなきゃバレないが、陽乃の正確だ。何かの手段で伝えようとする。  まあ身を引くだけでいいのだ。  もう二度と泊まれなくなる宿を増やしたくないのだ。 「夜にまたこえーのが騒ぎ出してずっと怨嗟の声が響き渡るのはほんと迷惑だし」 「私が悪いのか。しかしまぁ納得感が。うーむ」  ポルターガイストが起きて、宿がホラー屋敷と化したが最後、そこは宿をやるより新手のアトラクションをやる方が理に叶う場にしかならない。  そこまで行った試しはないけど。 「でも」 「でも、だよな。確かに」 「まだ朝ご飯を食べてないよ」 「今朝ぐらい抜いてこうって。次の宿決まるまで仕事探す」 「わかった…」  無料滞在があったから勿体無くて無理矢理長く居たけど、ここでは確かに今までのような事は起きてない。  様子を見てみてもいいのかもしれない。陽乃は陽乃、集まってくるやつはまた違う奴らなのだ。  陽乃だからというより、未成仏霊だからそれがそういうものを招き寄せているのかもしれない。  部屋に入ってから始終陽乃は無言だった。話しかけてないけど。  怒っているのかもしれない。 「おやすみ。ってかまあお互い寝れないのだけど」  しかしまあ、久しぶりに返事がなかった。  外を見ると寝姿勢からでも水平線が見えた。太陽はなく、暗闇に僅かばかりの向こうの島の明かりが瞬いている。遠い田舎の山と海に囲まれた知らない世界。  社会のレールから外れて久しい生活は毎日が不安だらけで世界は自分達とは違う理で動いている気がした。  何もないところで線香の匂いが漂ってくる事がある。  それを世の中では幻臭と定義するけど、火のない所に煙は立たない。  つまりそこには何かがある。  49日が終わり、がらんとした賃貸マンション。  親戚の家に引っ越しがきまり、自分の家財道具だけは運び終わった。  その部屋は契約が切れていた。しかし大家さんに無茶を言ってみたところ、まだ新しく入居者が決まる前までなら時間をみて居てもいいという。  それでしばらく床に寝ていたら、煙の臭いがして目が覚めた。つまりそれだ。  仮に線香の匂いが気のせいでもそうでなくても、ここには確かに何かいる。そんな気がした。 ──だからなんだというのか。  家族がなくなった。最後の家族だった。  亡くなったのは妹で、先に両親が病死で他界していた。  妹の死因も病死だ。最近テレビでよく名前をみるようになった病だが名前がでてこない。とにかく持病があった。しかしまだまだ生きられる筈だった。弱っている身体に最近流行りの感染性ウイルスに侵された。あっという間だ。  何もなくなってしまったような部屋の空気。  沸いてきた感情は悲しみよりも焦燥感だ。  これからどうするべきか。  一旦は親戚に預けられるとしても、18になれば追い出されるだろう。  それから引っ越しまでの期間を使って幾度となくその場所(元住居)に足を運んだ。  まあ最後の方は家族皆病院だったから幽霊が存在したとしてここにいるはずもないかもしれないが。  帰ろうとした矢先だ。  契約前の賃貸マンションの一室にチャイムが鳴った。  工事業者かもしれない。消防の点検、ガスの点検。  色々考えながら、応対する為に玄関ドアを開けた。 「あ、やあです」  にこやかな笑み。青春してそうな涼しい色のショートヘア。今風の派手な七分袖に膝までのデニム。 「誰すか?」 「え?」  戸惑っていたのは俺だけじゃなかった。 「え? 僕の事しらないんです? まいりました。クラスメイトですよ?」 「あ、いや見覚えが、で、何?」 「いや、ですね。お悔やみ申し上げますです。あ、これは学校でも言いましたよね僕」 「えーと、で。つまり貴方は何用で?」  名前を聞こうかとも思わなかった。突然の珍入者。早く帰ってもらうに限る。 「かいつまんで話すと引っ越すんですよね? ちょっと遊びに来ませんか? 実はね貴方の事好きなクラスメイトの子がいて」  バタンと相手の子の指だけ挟まないよう気をつけて閉めた。  しかし不覚にも、挟んでしまった。 「いったあああ! 痛い痛い」  慌ててまた開ける。 「なんて冗談はさておき、あっ、ちょ」  また閉める。今度はすんでのところで止めた。  閉められないように指だけ犠牲にしてきやがったのだ。 「はあはあ」 「いや、ほんと何の用だよ。こちらそんな気分じゃないんだよ。帰れよ」 「まあまあ」  言いながら今度は足を挟んでくる。  意地でも帰らない気だった。 「そのね、貴方を好きな子がね。貴方に遠くに行って欲しくないみたいなんです。だからねウチ今ちょっと丁度運良く部屋空いてるから。そこに遊びきませんか? ついでにみんなで作戦会議ってやつ。引っ越すのやなんだよね?」 「意味がわからねーよ!」 強引に足をどかそうとするが退かせない。ドア枠に引っ掛けた指はなんか知らんがツルツル滑る。 「泊まってっていいから! ほんとこんな据え膳食わねーとか○✖︎🔲◾︎かよ! 来いよ! おら、ね?」 「いや、ねって言われても……もう転居決まってるし」  少女はガン飛ばしていたかと思えば次の瞬間には冷静になってふーんと鼻を鳴らし、 「考えてみて下さい」  顔を近づけながら目を覗き込まれて、慌てた。少し後退する。 「他人ですよ。所詮。親戚さんだか施設さんだか知りませんが、貴方はそこになんか楽しい未来を感じますか? 僕はね、ほら。僕は貴方のことよく知ってるし。いや僕というか親友がよく知ってるんだけどね。こっちはいいですよ? だって少なくとも貴方を疎ましく思ってないし、皆大歓迎なんですよ? ね、今から貴方の新住居は僕の家です! はい決まり!」 「いや、意味わかんねーし。途中いきなり飛んだし、ていうかあんたは他人じゃないのかよ。いや、いやあの」  突然現れた一人称が変な少女は聞く耳持たずに決まり決まりとはしゃいでいた。  家族が消えて、秋がきて、厳しい冬が始まる前のちょっとシュールな非現実への招待──誘拐だ。  俺は悩んでたけど頭がどうかしてたのかもしれない。結局親戚には断って友達の家に世話になると頭おかしい事を言った。  そうしたらば、戸籍上の関係で一旦は帰れと言われ帰った。その後で俺の旧姓の永原は親戚の家の渡部になってその少女、和田村陽乃の家でお世話になる事になった。  和田村陽乃とはそれ以来の幽霊付き合いである。  和田村陽乃、別名憑き物少女。 「親友とはいつ会えるわけだ?」  家とやらに行き着いたのは日が暮れるギリギリ前くらい。橙に染まる少し古い民家。野放図に荒れた庭。蔦が生えた外壁。室外機すら見当たらない庭を見るに空き家だ。 「ごめん。アレは嘘なの。ほんとは」  かくかくしかじかを並べてみると、要するにこうだ。  和田村陽乃はこの家に住んでいた家主の娘だ。しかし一昨年の冬ベランダの柵にもたれていたら柵が抜け落ち、庭先に頭から突っ込んで死亡。  以降の記憶は白濁している。 「えーと……つまり」 「はい! とりあえずしばらくこっちいていいから! なんもないよ、空き家だから」 「空き家にも所有者がいるだろ……いやそうじゃなくて、それもだけど」 「それなんだけどうちのはずなのよ」 「はず? いやいやそれより、いやそれもか」 幽霊と聞いて俺の頭に即座に浮かんだのは何か、脱兎の如く逃げ出す自分か。いや違う。もはや手遅れ。そうだこれだ。 「わかったよ。とりあえず中に入るのは無しだ」  より、ヤバそうな気がした。 「いやあのさ、困りますよ。キミが住むところにしかいけないんだよ。ほら、もう手遅れだから」 因みに親戚の家には既に超特急で帰り、手続きを済ませてわりとルンルンで来たという経緯がある。俺もそこまで馬鹿じゃないからいくらこの少女が既にこの世にモニョモニョな感じで、なんとなくその類いのアレだったとして、嘘はつかないと勝手に思っていた。 「まさか野宿しろとでも……」 「いやおま、目の前にあんじゃねーかよ。」  こんな古い家が仮に住めたとして、俺が一番最初に危惧したのはアレだ。そう。 「住居不法侵入じゃないよ? いや生前住んでたわけだし」 「登記簿とかは?」 「何それ?」 「ありえねーはこいつ。おまえさ、賃借と持ち家の違いわかる?」 「家なんだから持ってるに決まってるでしょ? キミはなんだ? 私の」 「わかった。もういい。すまんが今日は野宿だ。多分」 「え? アナタニホンゴワカリマスカ? ユーニホンジン? ニンジン? サテハニンジンデスカ?」 馬鹿を無視して表側に周り表札を確認する。  非常に厳しい現実があった。 「アレ、ヒョウサツナクナッテルネ。コレハツマリ、カゼノシワザカ?」 「言ってろ。あのな、多分お前が死んだ後、多分皆引っ越したんだよ。だからあんなに人気がなくて荒れ放題なんだ。持ち家なら最低限のメンテナンスはするし、それなりに家全体ががっしりしてるから多分築年数はそんな経過してない。それで引っ越し、売り地とも書かれずに表札がない家つまり、空き家だ。つまりあんたらはここを借りてたんだよ。数は少ないけど戸建ても借りられるからな、でもお前死んだからここ事故物件になって売るに売れなくて放置、かあるいはまあ」  事故物件になったからこの少女の家族が家を放置していた可能性はなくもないけど、勝手に足を踏み入れたが最後、俺単独の住居不法侵入になる。  と言おうとして振り返ると少女が消えていた。  代わりに少女のいた場所にふわりとティッシュペーパーが一枚。  太いマジックで、理屈っぽくて嫌い、と書かれていた。 「え、俺今日どこで寝んの? ていうかもう断ってきたんすけどあの」  まあ行きたくなかったけど。いきなりホームレスも困る。  田舎のような都会のような中途半端に殺風景な住宅街の片隅で、俺は一人でこれからどうするかを考え──まあかくかくしかじかを経て、旅に出た。  あの少女、和田村陽乃は散々振り回したあげく、結局あの後戻ってきてボロ家の中に一人入り、中から別の人の家の書類を沢山みつけてきて、その登記簿の中に彼女の家族の名前はなかったらしい。  二人してどんよりしながら気付いたら最初の宿の門を叩いたのだ。無論予約はあの有名な予約サイトである。   「お! お土産屋さん発見!」  子供の様にはしゃいで走る陽乃。 「ふう……ちょっと時化てきたな」 「ね! あるよ色々! さっきみたやつも!」  土産物って最近流通がすごいのか、やたら大量に作ってやたら色んなところに似たようなのが沢山ある。  もちろん、あんまり銭はない。  駅近のスーパーみたいな土産物屋さんの前。俺はとりあえず近くのベンチに腰掛けた。  木製で丁寧に座布団まで敷いてある。 「薄いけど」 「ねえ、ちょっとなんでこないの?」 「土産さっきもみたしこの前もみたしその前もみたしその前――」 「全部少しずつ違うんだよね。そこが面白い」 はいはい、とテキトーにあしらってさっき近くで買った雲丹コロッケを食う。 「うめえ」 「よこせ」と手を出す陽乃。 色々余計なことを言いたくなくて、黙って半分千切る。 「うめえ」 ふうふうやりながら食べる陽乃を横目に駅前ロータリーの人波を眺める。  ホテルを出て二日経つ。  まだ次の宿泊先が見つかってない。  基本的にいまいるところは割と観光ニーズの高い客足の多い駅なので、もうしばらく様子見しようと思っていたのだが、野宿延泊はもうきつい。 どうしようか悩んでいた。  さっきから俺は携帯をチラチラ見ては溜め息をついていた。  何度かワードを変えて宿泊地を検索していたのだが、やっぱりめぼしいところがない。  宿のサイトすらなくてマップの評価のみだと電話――何故か電話は苦手だったりする。 「うーん」 「こ?」  コロッケを食いながら下品な陽乃。 「はいはい」 「それなんかウザい」 「はいはい」 「チッ」  さておき今一番可能性が高いのは、もはや不思議な力で空撮なんぞ駆使せずに、近場でバイトに行く事だ。  旅を始めて四件目までは自費で泊まっていた。  初めてアレを思いついたのは先日泊まった林の中に立つ海辺の宿の一つ前に泊まった宿だ。  その頃からライティングも始め出して、サイトで申し込みしてみてとりあえずデータを送って見たら無難な返事がきた。  まあなんていうか、それでもやっぱりじり貧だ。  いつ野垂れ死にしてもおかしくない。 「うおーー! 海はー、広大だー!」  ここは確かに海沿いだし海が近いけど見えてもいない海に向かって突然叫び出した陽乃は食い終えたコロッケの紙を手に手を広げて走り回っていた。  小学生かよ。  まあいいけど。幽霊に年齢なんてないし。  思いつつ、立ち上がり陽乃に呼びかける。 「いくぞ」 「おお?」 「ちょっとうらぶれてそうな民宿だ。宿の全般の仕事、泊まり込みで一週間」 「お仲間がいそう」  古いってだけで幽霊がいるとは限らないし。 「よし、行こう! 野宿は飽きたよ! 私も仕事手伝うよ!」  丁度よくパラパラと雨。  俺たちは急いで目的地に走った。  雨が降っていた。  コンクリートを遮二無二叩く水の粒に巻き込まれて私の服は水を吸い過ぎて身体に張り付いている。 「…………渡部、あいつ、やっぱり生きてた」  彼を見つけた瞬間に雑念が全て吹き飛んでいき心に渦巻くような安堵と同時に怒りが満ち溢れた。  そのまま硬直して濡れ鼠になっても立ち尽くしたまま拳を握る。  私、柏原沙耶は修学旅行にきていた。  そして偶々見つけた知り合いの姿を見て頭が真っ白になり、何か言う前に機会を逸してしまって、 「何いつまでも」  いつまで逃げ続けるつもりなのか。  言葉にならずに顔を伏せる。  しばらくじっとそうしていたらさすがに寒くなってきた。  身震いしながら走って帰路に着く。  昔とある事件があった。  昔と言ってもついほんの半年前だ。  とある高校の校舎で飛び降りがあった。  3年Aクラスの女子生徒は自ら飛び降りたとされていたが後程捜査が進んでやっぱり自殺ということで事件は幕を引いた。  学校側も保護者側もいじめや体罰などの事件性はなく、ニュースにも一時期取り上げられていたが間もなく噂もなくなった。  それから数ヶ月。  クラスメイトの一人が持病を拗らせて死んだ。  喘息があったらしくしばらく入院すると聞いてすぐのことだった。  それからまた一人、今度は体育の授業中にマラソンで男子が心臓発作を起こした。  先生がすぐに対処して事なきを得たが、それからだ。  翌日翌々日とクラスメイトの病気が続いた。  足を挫いたり骨折したり病気というか不幸というか、とにかく良くないことが続いた。そのタイムスパンはだんだんと1日ごとから数時間毎に変わっていた。  みんな気づき始めていた。  半年前だからもうあれから半年経つ。  それまでに実はもう一人死んでいる。  例の心臓発作の男子だ。  クラスメイトとゲームセンターで遊んでいたらしく、高揚した瞬間だったらしい。  みんな口に出さなかった。怖かったから。  だから暗黙の了解でなるべくみんなしおらしくして、あと健康に気を使いだした。  しばらくして、今度はクラスからぽつりぽつりと人が減り始めた。  退学したらしい。退学した生徒の知り合いの一人が田舎に戸建てを買って家族で移り住むと聞いたらしい。  関わっていた職員にも退職者がいたが、それは決まってクラスに出入りする人間のみだった。うちのクラス、3年Aクラスの人は担任も含めて静かに密やかに消えていった。  理由はない。  ただ何かを恐れるように少しずつそうしていた。  月日は百代の過客にして行かふ年も又旅人也。何かで読んだ古い一説が、頭によぎる頃には月日が経っていて教室は既に、減った、と目で見てわかるくらいに生徒が姿を消していて、退学したり家族が死んで引っ越したり病気になって入院したりと、それぞれの事情に対して反応する余裕もなく、そんな矢先に何か不幸の連鎖が突然ピタリと止んだ時期があった。それを機に暗黙の了解で皆この話題に触れるのをタブー視していた。  あいつが姿を消したのはその頃だった。  渡部だ。  理由はわからない。逃げたと思った人も沢山いた。私もその一人だ。でもあいつは消える前にクラスメイトの一人に伝言を残していた。  終わらせてくる、そう言って以降一切の連絡路が絶たれた。  じゃあなぜ今回遭遇したのかと言えば偶然ではない。彼と以前に位置共有をしていた私はアカウントを変えて以降そのままにしていたが、また昔のアカウントをようやく復活させたのだ。  何処にいるか掴んだ私はすぐに、OLから転職して3年目担任の笠井に話した。 「もうさ決着付けようよ先生。うちらはどうせ逃げられないんだからさ」   「あ、沙耶さんいたいた!」  旅館に着いてすぐ、背後から手を叩かれた。斎が声をかけてきた。斎は最近入ってきた部活の友達で人懐っこい性格の同年代だけど後輩みたいな奴だ。 「すいません、その、やばいですよそれ?」  たしかに、言うまでもなく。 「うん、どうしようか悩んでた。ほらさ、うちの班だけ自由行動で寺巡りしてたじゃん」 「はい、で沙耶さん消えるし」 「うん、ちょっと人探ししてたから」  何か言おうとする前に、 「とりあえず、部屋に入っては?」 「うん、そうするわ」 ずぶ濡れのまま館内に入っていたら、程なく従業員がタオルを持って走ってきた。 「で、沙耶さん」  神妙な顔の斎──朝霞斎はスマホを睨みながらいう。 「結局のところ誰を探していたんで?」  その問いに同室の野田みゆきが反応した。 「それは私も聞きたい」  まだいたクラスメイト三十人。うち、来たのはたった10人。班は3、3、2、2の4つに分かれ、うちの班は三人だ。 「ってか、確かに観光地だけどあんま見に行くとこなくない?」  みゆきはドライだが、同じ班になるだけあってほどほどに仲はいい。 「いやーあると思いますよ。ここ確かにど田舎ですけどググると結構な名所だし、なんか御寺とか神社とか神域多いし、現にうちら回ってましたし」  相変わらずスマホを睨みながら話す斎が何を見ているか覗いてみたら、似たような数字が二つ並んでいて激しく動いている画面をポチポチ操作していた。  私にはわからない世界だからあえて突っ込んでは聞かなかった。 「まあ確かに」  私は頷きながら部屋に入る前にロビーで買っておいたソーダに口をつける。  まだ髪は乾いていない。頭に置いたタオルでまた髪を拭きながら二人をみる。  みゆきは私服姿で縁側でテレビをみている。  斎は一応制服だ。館内は自由でいいと言われているからどちらも正解だが、私は暑苦しいから私服――まあまだ雨が染み込んでいる。 「沙耶さん、とりあえず早くお風呂いただいてきては? いや、夕食のあとですけどもう五泊目だし、いちいちルール守らなくても……」  そうだ、もうここにきてから五日経つ。 「わかったよ。とりあえず行ってくる。じゃ速攻行くからもし遅れたら先生になんか言っておいて」 「はーい! 行ってらっしゃ」  部屋を後にする。みゆきが眠そうに手をひらひらしていた。
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