【W杯】敵主将ファン・ダイクに「強豪」と言わしめた森保一監督の凄み、“オランダ戦ドロー”のとてつもない価値《臼北 信行》
この一戦の価値を際立たせたのは、試合内容だけではなかった。むしろ、試合に入る前から日本はあまりにも多くのものを失っていた。
MF南野拓実(ASモナコ)とMF三笘薫(ブライトン)は負傷の影響で大会メンバーから外れた。長年にわたって日本代表の心臓部を担ってきたMF遠藤航(リバプール)も、初戦直前に負傷で離脱。キャプテン格であり、ピッチ上の基準点でもあった男を欠いた状態で、日本は欧州屈指の総合力を誇るオランダに立ち向かわなければならなかった。
不運は試合中にも襲ってきた。攻撃の核として期待されていたMF久保建英(レアル・ソシエダ)が後半途中、左膝付近を痛めて自ら交代を要求。治療を試みたもののプレー続行は難しく、足を引きずるようにしてベンチへ下がった。
森保一監督は試合後、久保の状態について「まだ詳細は分からない」とした上で「自分で歩いていたので、できれば軽傷であることを願っています」と説明した。まさに満身創痍。敗戦の言い訳なら、いくらでも並べられる状況だった。
だが森保ジャパンは、それを言い訳にしなかった。遠藤を欠き、南野も三笘もいない。久保まで途中で失った。普通ならば、チームの背骨が折れても不思議ではない。
しかし日本は後退しながらも耐え、受け身になりながらも狙いを捨てず、最後のセットプレーで同点に追いついた。この粘りこそ、森保監督が7年かけて日本代表に植え付けてきたものだった。
象徴的だったのは、試合後のファン・ダイクの言葉だった。世界最高峰の守備者としてリバプールとオランダ代表を支え続けてきたスーパースターは、2失点への悔しさをにじませながらも「日本のような強豪チームと対戦したのだから仕方ない」と語った。
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