テーマ「推しと双眼鏡と、2階席」
人は欲深い生き物だ。
「足る」を知っていても、「欲」を捨てられない。
舞台は本来、全体を眺めてこそ成立する芸術で、
例え今夜のように急な2階席であっても、その構造や空気ごと味わうのが正解だと頭では分かっている。
それでも推しがいると、理性は簡単に負ける。
表情、視線、瞬き。
物語ではなく「存在」を見たくなって、双眼鏡に手が伸びる。
一度、個に焦点を合わせると、全体はもう戻らない。
終演後に残るのは、
「もっと引きで、ライブという体験を受け取るべきだった」という後悔。
だが、もし双眼鏡を持たなかったなら、
今度は「もっと近くで見たかった」という別の欠落が生まれる。
満足とは、常に選ばなかった可能性を引き連れてやってくる。
結論はひとつ。
良席を当てよ。
双眼鏡はほどほどに。
表情は配信に委ねよ。
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